公務員とは
私たちの生活している社会には、実にいろいろな職業があり、その中で利潤の追求を目的とする民間の会社に対し、公共の事業に携わる人たちが公務員と呼ばれています。
ひとくちに公務員といってもまさに様々な職種があり、身近な例を見ても、市役所や町役場の職員、税務署員、警察官、消防官、裁判所、病院、図書館など幅広い分野にわたっています。憲法・国家公務員法・地方公務員法にも、「公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」ということが、それぞれ明記されています。つまり、すべての公務員は公共の利益のために勤務し、同時に職務の遂行にあたっては、全力でこれに専念しなければならないということです。これは、公務員が仕事をしていく上での基本的性格を表しています。
公務員の種類
公務員は、国家公務員と地方公務員、準公務員の3つに分けられます。
国家公務員とは
国の公務を担当し、国の各機関の長によって選任され、国から給与を支給されます。国の各省庁の本庁または出先機関等で勤務する職員です。税務署員、皇宮護衛官のほか、気象大学校学生や海上保安学校学生等も国家公務員の身分を持ちます。
国家公務員の種類
国家公務員は、さらに一般職と特別職の2つに分けられます。
一般職
国家公務員一般職試験で採用される職員・・・人事院が管轄
一般職:行政事務、税務、技術
各 種:皇宮護衛官、入国警備官、刑務官A・B、航空保安大学校学生、気象大学生、海上保安大学校学生、海上保安学校学生
特別職
各官署が独自に、試験や選考を行う
特別職:裁判所事務官、国立国会図書館職員、防衛省職員、衆・参議院事務局職員、衛視、衆・参議院速記者養成所学生
国家公務員の具体的職種
- 皇宮護衛官/天皇皇后両陛下、皇太子同妃両殿下、その他皇族各殿下の護衛、皇居、御所、御用邸等の警備業務。
- 刑務官/全国各地の拘置所、刑務官または少年刑務所に勤務し、収容者に対して日常生活の指導、職業訓練の指導のほか、人生相談に応じたり、施設の保安警備などの業務。
- 入国警備官/各地の入国管理事務所、同出張所、各入国者収容所等で外国人の出入国や在留管理の事務を担当、不法入国者の調査や収容所の警備など。
- 海上保安(大)学校学生/大学校学生は本科4年間と専攻科6ヶ月の専門教育を受け、各地の巡視船や各管区保安本部等に配属され海上保安業務に従事。学校学生は、船舶運航システム過程、情報システム過程、海洋科学過程に分かれ1年間(情報は2年間)専門教育を受けて、各業務に従事。
- 航空保安大学校学生/航空管制科、航空情報科、航空電子科のⅢ過程に分かれ2年間の研修を受け、各業務に従事。
- 気象大学校学生/気象庁における将来の幹部職員になるための専門的な知識や技術などについて、気象大学校で4年間の教育を受けた後、気象庁または各地の気象台に配属される。
特別職公務員
- 裁判所職員/裁判所事務官:各裁判所の事務局で庶務、人事、会計など一般事務に従事。
- 防衛省職員/一般事務の他に、電気、機械、土木、建築の補助的業務。
- 国立国会図書館/国立国会図書館において、図書館資料の収集・受入・整理および閲覧事務などの司書業務やそのほかの一般事務に従事
地方公務員とは
都道府県や市町村の役所に勤務し、都道府県、市から給与を支給される職員です。都道府県庁、
市町村の役所など一般事務を行う職員のほか、警察官、交通巡査員、消防官など多数上げられます。
都道府県職員
一般職:一般事務、学校事務、警察事務、交通巡査員、警察官
市町村職員
一般職・特別職(消防官など)
地方公務員の具体的職種
- 一般事務系/一般事務、学校事務、警察事務、消防事務、各自治体による。一般事務は、各自治体やその出先機関で受付、文書、計算、調査、徴収などの業務に従事。学校事務は、主に小中学校、警察事務は警察署、消防事務は消防署において、一般事務に従事。
- 技術系/国家公務員同様、電気、機械、土木、建築、化学、農業、農業土木、林業といった職種があり、仕事内容としては国家とほとんど差はない。水産、畜産等、県独自の職種もある。
- 警察官/男女警察官は個人を保護し、犯罪の予防、捜査など公安の安全と秩序の維持にあたる。
- 交通巡視員/違反駐車の摘発や歩行者の安全をはかる業務に従事。受験資格はほとんど女子に限定されている。
- 消防士(消防吏員)・・・火災鎮圧をはじめ、火災予防のための建造物への立ち入り検査、その行政指導、工事現場や交通事故などによる負傷者の救出、急病人を救急車に運ぶなどの業務に従事。
準公務員とは
独立行政法人(国立大学職員など)に従事します。
受験資格について
公務員試験の受験資格は、主に年齢制限です。国家公務員(一般職,技術職)・地方初級(高卒程度)採用試験といっても、学歴をさしているわけではなくて、問題のレベルをさしているのです。
しかし、受験資格はそれぞれ異なりますので、よく調べておく必要があります。
令和元年度 国家公務員試験受験資格一覧
☆高専の第3学年の過程終了(見込み)者も含みます。
☆受験資格の変更が考えられます。必ず事前に確認をしましょう。
☆防衛省Ⅲ種試験は,平成24年度から人事院が行う国家公務員試験に統一されました。
公務員受験の流れ <国家公務員>
①インターネットによる申し込みを行います。②一次試験として、教養試験・適性試験・作文試験など。③第一次試験の合格通知書が届く。④第二次試験に向けての合同説明会・面接試験等人事院が実施。⑤最終的な合格通知書が届く。⑥面接試験・健康診断などを行った後各省庁実施で採用面接を実施。⑦内定承諾書を人事院に提出。
公務員の待遇
公務員の待遇について説明します。
給与体系
職種によって多少差があります。初任給は下記の通りで、昇給は年に1回。ボーナスに相当するものは、6月・12月の2回に分けて支給されます。
給与の中身は俸給と諸手当に分けられます。俸給は民間企業の基本給に当たるものです。手当てには、扶養手当、通勤手当、住宅手当、調整手当、超過勤務手当、休日勤務手当、夜勤手当、宿直手当、特給等があって、それぞれ該当する手当が支給されます。
高卒程度公務員の初任給
※給与は勤務地や職歴の有無により異なる場合があります。
勤務時間・休暇
一般的な勤務時間は1日8時間で、1週間あたり40時間です。そして国家公務員は、完全週休2日制が実施されています(変則勤務の場合を除く)。地方公務員も完全週休2日制が着実に進み、ほとんどの自治体で実施されている。
休暇については、国家の場合、年に20日の年次休暇があり、前年の繰越分を合わせて、最高30日まで休むことができます。都道府県や市町村では、最高40日間という例も少なくありません。他に、病気休暇、忌引き、年末年始休暇、結婚休暇、出産休暇なども認められています。
併願のすすめ
試験の日程が重ならない限り、併願は可能です。下表を見るとわかるとおり、都道府県と政令指定都市の試験日は、国家公務員試験とずらしてあります。ですから、国家と地方の併願はできます。但し、道府県と政令指定都市は併願できません。地方同士でも政令指定都市や多数の県庁所在地の市を除く、市や町村などは、県と別の場合も多いので、日程などの情報は自分で積極的に集めて、併願プランを立てておきましょう。併願についての考え方は人それぞれですが、チャンスは多いほうがいいと思います。ただし、欲張りすぎるのも考えものです。まず、第1志望をどこにするのかきちんと決めておくことが大切です。
※防衛省Ⅲ種試験は,平成24年度から人事院が行う国家公務員試験に統一されました。
試験の構成
公務員採用試験は、公務員としてふさわしい人柄と、職務を遂行するために必要な能力があるかどうかを見極めることが大きな目的となっています。
教養試験
教養試験は一般知識と一般知能に大きく分けられます。
一般知識
社会科学系:政治・経済・倫理・社会
人文科学系:世界史・日本史・地理・国語・文学・芸術
自然科学系:数学・物理・化学・生物・地学
の3分野です。いわゆる、高校で学習する程度の問題です。
出題科目数が非常に多く、出題範囲も広いのが特徴です。
一般知能
文章理解・判断推理・数的推理・資料解釈のことです。これは、応用力判断を試すものです。
一般知識分野の問題は、知識が身についていないと、いくら考えても解けないのに対し、一般知能分野は、よく読んで考えれば、解けるような問題であるところに大きな違いがあります。
適性試験
適性試験は、職務遂行上にあたって、必要な書記的能力を有していか、正確性や敏捷性はどうか等を測るもの。
- 形式になれているかが大きな差になります。また、採点は減点法(正当数から誤当数を引く)なので、誤答数が多かったり、途中の問題を飛ばしたりすると減点されます。1番から順に、早く正確に解答できるよう練習しましょう。
- 適性試験(スピード検査)は、その形式から「照合・分類・計算・置換・図形把握・複合問題」の6パターンに分けられます。
作文試験
作文試験は、択一式試験では見ることの難しい表現力や文章を書く能力などを見るために実施される。
- 短時間で課題に沿った文章を書くことが要求されるので、文章に書きなれておきましょう。
◎作文を書くときのポイント
- 言いたいことをはっきり書く
- 文章の三段論法(序論・本論・結論)をふむ。
- わかりやすい表現を選ぶ。
一つの文体をできるだけ短くし、具体的な表現を使う。
◎字のみやすさ、丁寧はもちろん、字数が決まっている時は、分量をきちんと書くことが条件です。
面接試験
筆記試験では見ることのできない、受験者の人物を見ようとする試験。
◇よく効かれる質問に対して、自分の意見や考えをまとめておきましょう。
◎面接官の判定ポイント
- 誠意がある態度か?
- 身だしなみはきちんとしているか?
- 表情や動作に落ち着きはあるか?
- 質問の内容を理解しているか?
- 他人の意見を聞きすぎて、簡単に妥協しないか?
- 人に頼りすぎたり、引っ込み思案ではないか?
- 向上意欲(やる気)はあるか?
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