塾長フォーラム⑯ 12歳問題、心の奥底に潜むストレス
昨年大学を卒業したばかりの新任の先生に、小学校6年生の女の子がつぶやいたそうだ。「人間って本当は醜いものじゃないの?何で私は生きているのだろう」
また、子どもたちに将来の夢などを聞く調査でも、自由記述欄に「夢など実現できない。なぜ生きていくのか意味が分からない」という声が見られるようになった。
生きていく時、悩みはつきものである。しかし、発達心理学の知見を待つまでもなく、12歳ぐらいまでは、生き方での悩みは少なかった。それが、どうもこの頃増えている。背景にはストレスを抱えた子どもたちの存在がある。「先生や友達とあいさつするのが面倒くさい」「授業中、話を聞くのがつらい」「授業中、イライラする」「学校で何もする気がしない」などの行動特性を示す。千人近い小学生を対象にした調査によれば、6年生でストレス感じる子どもは35%もいた。
確かに、6年生になると身体的にも大人になり始めるし、学校では最上級生という形でプレッシャーがかかる。また、地域社会の催し物でも6年生が学校代表で駆り出される機会が多い。
さらに、都市部ではこれに中学受験が加わる。これは正に「12歳問題」の発生と呼ばれており、子どもの心の奥底に先行しているようだ。 6年生の危機を考えると、6・3・3制を見直す時期に来ているのではないだろうか。